東京パラリンピックとダウン症のある選手
Posted on 2月 9, 2017 by DS21.info
世界最大のオンライン署名サービスChange.orgにてブラジル・リオデジャネイロ在住のLilian M Barrosさんが「2020年の東京パラリンピックでダウン症のある選手を含めるルールに変更してください」というキャンペーンを開始しました。
そもそもパラリンピックでは知的障がいのある選手は出場できるのでしょうか。
日本知的障害者スポーツ連盟のwikiによると、
1998年冬季の長野パラリンピックに初めて知的障害者選手のクロスカントリー種目のみが採用され、我が国初の知的障害者選手のパラリンピック銀メダリストとなった安彦諭を輩出。その後のパラリンピックにおける知的障害者が参加する競技種目の拡大が期待された。
しかし2000年のシドニーパラリンピックにおいてスペインなどで複数(チーム12名中10名も)の健常者が知的障害クラスのバスケットボール種目に出場し金メダルをさらったという不正行為が発覚し、それ以降は不正行為に関わっていない者であってもINAS-FIDの選手はパラリンピックの全ての正式競技から除名排除された。こうして知的障害者のパラリンピック参加への道は再び閉ざされた。
その後パラリンピックに知的障害者が復帰するための活動が進められ、2012年に至ってようやくロンドンパラリンピックにおいて陸上競技、水泳と卓球の3種目の復活が認められ本連盟から選手団が派遣され水泳において我が国初となる知的障害者のパラリンピック金メダリストである田中康大を生んだ。
だが次のソチパラリンピック冬季大会においては知的障害者の競技種目は採用されなかった。
ということで、知的障がいのある選手は大会のルールによって出場できたり、できなかったりするそうですが、不可能ではないのですね。
前回、2016年のリオデジャネイロパラリンピックでは、(ダウン症ではありませんが)知的障がいのある選手として、競泳の中島啓智選手(男子200メートル個人メドレー 2分15秒46)、津川拓也選手(男子100メートル背泳ぎ 1分34秒42)が銅メダルを獲得しました。
国際パラリンピック委員会が定める競泳のルールでは、障がいを3種類(身体、視覚、知的障がい)に分け、さらに泳法に分けて、競技の公平性を保つためにクラス分けをしているそうです。
一般社団法人日本知的障害者水泳連盟によると前回リオデジャネイロパラリンピック・競泳のリオ派遣標準記録で知的障がいのクラスはS14、種目別のタイムは以下の通りです。
男性
自由形(200m)…2:00.35
背泳ぎ(100m)…1:03.60
平泳ぎ(100m)…1:09.07
メドレー(200m)…2:17.69
女性
自由形(200m)…2:18.44
背泳ぎ(100m)…1:15.21
平泳ぎ(100m)…1:22.36
メドレー(200m)…2:34.40
前述のLilian M Barrosさんのキャンペーンでは詳しく触れられていませんが、パラリンピックのクラス分け、特に知的障がいが1つとなっている事に対し、昨年からダウン症の選手関係者では「公平ではない」という意見が多くなっているようです。
オーストラリアのダウン症水泳団体のシモン・コックスさんは言います。
「ダウン症候群は世界で最も多い遺伝子の障害です…ですので、知的障害という1つのカテゴリではフィットしないのです。」
ダウン症のある競泳選手として世界チャンピオンのダニー・ラムジー(27歳)さんもパラリンピックのルールについて「公平ではない」と言います。
ダニーさんの父親も言います。
「何年も前から言っているのですが、そのルールをクリアしたダウン症の競泳選手はいなく、パラリンピックに出場したことがないのです。」
2020年の東京パラリンピックの選手選考で採用されることを目指し、オーストラリアを含むいくつかの国々ではダウン症のある選手の新たなクラス分けを取り組むそうです。
また、Lilian M Barrosさんのキャンペーンで集められた署名は国際パラリンピック委員会・フィリップ・クレイヴァン会長に届けらるそうです。
東京パラリンピックではダウン症のある選手の活躍が観られるかもしれません!
情報ソース:
・Swimmers with Down syndrome missing Paralympics under ‘unfair’ rules – ABC News (Australian Broadcasting Corporation)
・Road to Rio(競技編)パラリンピックを理解して楽しもう!~競泳~ | パラリンピックを盛り上げよう。Road to Rio | ハートネットTVブログ:NHK