ユイトくんが遺してくれたこと
Posted on 3月 13, 2016 by DS21.info
私がこの本を知ったのは朝日新聞の記事でした。
ユイトくんは8歳で亡くなりました。
生まれて数日後、
ユイトくんがダウン症と分かり、
ママはそれを受け入れ、
療育を熱心に取り組み、
ユイトくんもそれに応えようとがんばりました。
ユイトくんが2歳のとき、
弟が生まれ、
忙しくも幸せな日々が家族に訪れます。
しかし、出産や子育て、二人目の妊娠の考え方など、
夫婦や親の認識の不一致により離婚。
ママは言います。
「この子たちのためならどんなことだって頑張れる」
実家に戻り、
祖父母のサポートを受けながら
保育園、幼稚園と二人の子どもは元気に育っていきます。
生活が落ち着き、ひと段落したころ、
ユイトくんの急性リンパ性白血病が分かります。
闘病生活がはじまりました。
ママは担当の先生に言います。
「私の私物のように育ててきたことはありません。彼には彼の人生があり、きちんとした意思があります。あの子の体に起きていること、あの子の体に対してすることについては、すべてあの子が知る権利があります。」
「ダウン症の告知を受けた時、私はこの子に何の治療もできないことに対して自分や医学の無力さを感じました。でも、今回はまだ何か救うための手段が残されている。それだけが、私たちの希望です。」
骨髄穿刺、骨髄注射などダメージを伴う辛い治療にユイトくんは耐えました。
治療をはじめて一ヶ月半、ガン細胞がなくなります(寛解)。
七ヶ月の治療の末、退院しました。
幼稚園の復帰と卒園、小学校選びとその準備が続き大忙し。
ユイトくんは定期的に病院で治療を受け、その副作用に耐えながらも保育園、小学校へ通います。
バリ島に旅行もいきました。
そして…
この本は読みやすい文章で、母親として子どもを想う気持ちが心にぐっときます。
私は何度も読み返し、確信しました。
ユイトくんが家族や周囲にもたらしたものは、障がいを超えて人間が本来持ち合わせている愛だったのだと思います。
あとがきにはこう書かれています。
「人間の価値は生きてきた時間でも、何かできるということでもない」
ぜひ多くの方にママとユイトくんの過ごした8年間の話を読んでいただき、愛を感じて欲しいです。