ダウン症の人に心臓病や糖尿病などのリスクが高い要因
Posted on 12月 15, 2015 by DS21.info
医学的に成人のダウン症の人は心臓病や糖尿病などのリスクが高いことが知られています。
2015年12月14日、米・ジョンズホプキンス大学の科学者チームが末梢神経系を妨げる酵素カルシニューリン(RCAN1)がこれらの原因であるかもしれないという調査報告を総合学術雑誌『ネイチャー』に発表しました。
末梢神経系とは、中枢神経系以外の神経系=脳と脊髄以外の神経であり、心拍、血圧、血糖値の活動に影響を与えます。
ダウン症の人は脳神経系に発現する酵素カルシニューリン(regulator of Calcineurin 1(RCAN1))が多いため、末梢神経系の成長因子の活性化を妨げます。
結果、末梢神経系の発達を妨げ、心臓病や糖尿病などのリスクが高くなっているのではないか、という調査結果です。
調査はダウン症のある人とマウスの組織サンプルを使い、ダウン症があると酵素カルシニューリン(RCAN1)が通常の3倍があることが分かりました。
将来、この酵素カルシニューリン(RCAN1)の量を抑えることができればダウン症の人の心臓病や糖尿病などのリスクを下げることができるかもしれません。
ニュースソース:
This May Explain Down Syndrome Health Problems
http://www.webmd.com/children/news/20151214/genetic-abnormality-may-explain-health-complications-of-down-syndrome
参考)
・カルシニューリン – 脳科学辞典
・末梢神経系の基礎知識: 末梢神経の障害: メルクマニュアル 家庭版