アウトサイダーアートのカリスマ、ジュディス・スコット

Posted on 11月 16, 2010 by

 

「アウトサイダーアート」って何だろう、と調べてみました。

ウィキペディアによれば、アウトサイダーアートとは以下の定義だそうです。

特に芸術の伝統的な訓練を受けていなくて、名声を目指すでもなく、既成の芸術の流派や傾向・モードに一切とらわれることなく自然に表現したという作品

また、障害者の作品はすべてアウトサイダーアートなのかというとそうでもないらしいです。

障害者の芸術作品を取り上げる場合に「アウトサイダー」と表現してしまうと、とかく障害者を社会の枠外に置きたがる風潮のなかでは障害者に対しての差別的な言葉であるという非難をされてもしかたがない。その上アウトサイダー・アートを安直に精神障害者のアートとしてしまうことは本来の意図からしても外れてしまっているわけである。その代わり今日では、そういったさまざまな障害を持った人たちの作品を「エイブルアート」「ワンダー・アート」「ボーダーレス・アート」という呼称で、社会につながりを持つための手がかりとして支援しようとする動きがある。日本では、トヨタ自動車などがその最大のスポンサーとして活動している。

そうはいってもアウトサイダーアートの評価の一翼を担っているのは障害者の芸術作品。
その中にもダウン症のカリスマ芸術家がいました。ジュディス・スコットです。

彼女の作品は「身近なモノを例えば、誰かが履いていた靴、捨てられた鞄、編み棒、もう使わなくなった扇風機、買い物カートなどをさまざまな糸、布の端切れで、包んで「繭」(コクーン)化してしまう」のが特徴だそう。

ニューヨークや東京など世界で個展を開催しているそうです。

http://www.youtube.com/watch?v=DA4I6Q0x60s

ジュディス・スコットは1943年、アメリカのオハイオ州シンシナチで双子として誕生しました。
その後、7年半を双子の姉と兄とともに過ごします。
双子の姉との知的なギャップはありましたが、ジュディスの両親は彼女を他の兄弟と同じように平等に育てました。

ジュディスが学校に通う年になると、彼女は学習能力がないと判断されました。
難聴でもあったため、知的な発達が非常に遅いと思われたのです。
その結果、医師のアドバイスもあり、両親は彼女をコロンブス州の施設に入所させます。

施設に残っている記録では、彼女のIQは30と診断されています。おそらく難聴だったので正しい判断がされなかったのでしょう。
この診断により、彼女はまともな教育を受けられませんでした。
学習機会も与えられず、兄弟からも離れたジュディスは暗黒の時代を過ごしました。

1985年、双子の姉ジョイスが彼女の保護者になることで施設から引き戻します。
そして、カルフォルニアで姉と過ごすかたわら、アートセンターへ通いはじめました。

数ヶ月後、ジュディスは偶然、繊維を使ったアートのクラスと出会いインスピレーションを受けます。
繊維を使った彫刻の作品をつくりはじめたのです。

アウトサイダーアートが注目される芸術界で、ジュディスの作品はすぐに評価されました。
現在、彼女の作品はオークションで15,000ドル以上で取引されています。

2005年、ジュディスは姉の腕のなかで平和な死を遂げました。享年61歳でした。

OUTSIDER Clip from Icarus Films on Vimeo.

◆参考URL

第11回 アウトサイダーアート展「ジュディス・スコット“メタモルフォーシス”」 @資生堂ギャラリー(2001年)
ジュディス・スコット Wikipedia(英語)
ジュディス・スコットがアートセンターで制作している様子(動画、要QuickTime)
ジュディス・スコットのファンサイト(英語)

 




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