ドキュメンタリー映画『タケオ ダウン症ドラマーの物語』(個人的映画評)
Posted on 6月 2, 2011 by DS21.info
生まれもっての天才はいない。
99%の努力と1%のひらめきが天才を形づくるのだとすれば、
タケオの成長はまさにそのプロセスを踏襲している。
私はこの映画を通じて音楽家タケオの成長を追体験した。
タケオの圧倒的なリズム感、自由な発想。
本場セネガルの地で、現地の人たちと対等にパーカッションで絡む姿を観て、
日本人としてとても誇らしい気持ちになった。
タケオのリズム感は本当にすごい。
彼の紡ぎだすウネったリズム感、グルーヴは同じ日本人とは思えない。
タイトルに「ダウン症」と付いているが、
(障害は関係無く)“リビング・レジェンド”なミュージシャンの成長ドキュメンタリーだと思った。
彼の才能のルーツはとてもシンプル。
それは母親が子供の才能を見つけたこと。
そして多くの仲間に出会えたこと。
タケオにピアノの練習をさせるなか、
「ドレミを覚えることは重要ではない」と悟った母は、
メロディよりもリズムに関心のあるタケオをアフリカンドラムのスクールへ通わせる。
そしてセネガル出身の師匠が彼の才能を開花させ、
パーカッションの魅力にどんどんのめり込んでいく。
タケオは出会いにも恵まれていた。
日本人の先生や仲間との出会いは、
彼の音楽性に幅を持たせ、
音楽への自由な発想を広げていく。
作品のなかで響く数千、数万回のパーカッションは、
天才としてのタケオを確実に形成していく。
音楽とは自由な心で楽しむものだという音のメッセージ。
個人的には今後、ロックやダンスミュージックとコラボするタケオを観てみたい。
ロックであればサイケデリックな音楽スタイルで活動するROVO、
ダンスミュージックであれば生楽器とハウスミュージックを融合させるジョー・クラウゼルなど、
タケオがコラボする姿を想像するだけで楽しくなってくる。
夏の夕暮れどき、日比谷野外音楽堂でタケオのパーカッションに酔いしれてみたい。
そう、タケオのレジェンドは今はじまったばかりなのだ。
公式サイト:http://www.takeo-cinema.jp/
追記:
私はまだタケオの生ライブを観たことがありませんが、
DVD特典として野村誠さんとの53分におよぶセッションが収録されています。
アブストラクトな即興演奏は新たなタケオを引き出しています。
DVD購入はこちらからどうぞ。