最近のウクライナのダウン症の生育環境ってどうなの?を調べてみた
Posted on 2月 26, 2022 by DS21.info
2010年、アメリカの家族がウクライナのダウン症のある女の子を養子にしたというニュースがありました。
マリーナはウクライナ出身、5歳の孤児。
バックマン夫妻が養子にしない場合、彼女は一生を(ウクライナの)医療施設で過ごすことになったでしょう。
https://www.ds21.info/?p=1182
この当時はダウン症で生まれた時点での選択肢はかなり少なかった印象です。
現在のウクライナはどのように変わったのか調べてみました。
2016年、キエフポストの報道では、
『ウクライナのダウン症のある人々は偏見に直面し、教育を受けるのに苦労しています』(直訳)という記事がありました。
記事のタイトルから受ける印象と異なり、
本文ではウクライナのダウン症のある子供は早期療育センターやインクルーシブ教育によって状況は改善しつつあるように感じました。
ウクライナには8,000人のダウン症のある子供がいるそうです。
2歳のソフィアちゃんはダウン症があり、月1回、ダウン症の子供のための初期発達グループ、週2回は通常の保育園に通い、2週間に1回、発達の専門家によるプライベートクラスに通っているそうです。
母親バソバさんは言います。
「ダウン症のある赤ちゃんは、両親にとって大きな人生の学校ですよ。そこで、あなたはたくさんの驚き、喜び、そして愛を手に入れますよ」
ウクライナの世論調査では医療従事者がダウン症に対して偏見があり、可能であれば中絶をするようにアドバイスしているそうです。
そんな状況で(ウクライナの)ダウン症の慈善団体のSergiy Kuryanovさんは、(ウクライナでの)ダウン症への誤解、偏見を変えようと奔走しています。
ウクライナで様々な障害がある中で、ダウン症候群の慈善団体が最も大きなもので、民間企業や個人からの寄付によって資金を集めているそうです。
例えばサッカーのチャリティーマッチを開催し、ダウン症のある女の子が選手を表彰しています。
集まった寄付を使い、2010年からは3歳未満のダウン症のある赤ちゃんを対象にした早期療育センターを支援してきました。
週に1回、5歳から8歳までの子供たちを対象にした特別なトレーニングセッションもあり、心理学者、教師、言語療法士の個別のサービスを子供たちに提供しています。
5歳のダウン症のある子供の母親タチアナさんは娘の生活は「(早期療育)センターの前と後」に分かれていると言います。
彼女たちはドネツク州のマキフカ出身で、ドンバスで戦争が勃発した後、キエフに移りました。
ダウン症の子供たちのためのセンターはマキフカにはなかったそうです。
ウクライナの教育省によると、ダウン症のある子供を含む合計17,790人の精神障害児(mental disabilities)が特別寄宿学校(special boarding schools)で勉強していますが、通常の地元の学校のインクルーシブ・クラスには554人しか通っていません。
キエフには22の幼稚園があり、ダウン症のある子供たちは別々か一緒のグループで勉強しているそうです。
しかし、インクルーシブ・クラスが少ないのが問題の本質ではなく、
そもそも州の教育プログラム自体が、ダウン症のある子供たちのニーズに応えていないそうです。
ここは日本の自治体も似たり寄ったりですよね。
慈善団体の責任者クリャノフさん曰く、州の教育プログラムでは、ダウン症のある子供たちに放課後の就職に必要な実践的な知識を提供していないとのこと。
彼らは、算数の問題を行うのではなくお金を数える、数学の方程式を解くのではなく買い物リストを作成するなどの実践的なスキルを教える必要があるそうです。
ここまでの内容を読み、
ウクライナにおけるダウン症のある子供の生育環境は徐々にではありますが発展していると思いました。
また、日本とウクライナ(特にキエフ在住)のダウン症のある子供を持つ親の考えは似ていそうだなと思いました。
その後、ウクライナのダウン症のある人の情報として
他には、2020年、Tetyana Semiginaさん、Anastasiia Chystiakovaさんによる
『ウクライナのダウン症の子供たち:学校を超えたインクルージョン(Children with Down Syndrome in Ukraine: Inclusiveness Beyond the Schools)』というレポートがありました。
こちらは、前述のキエフでの状況を踏まえた学術的な内容でした。
2022年、ここまでいい感じでダウン症の生育環境について志ある方が進めており、
さらに民主的な改善や教育が進むウクライナにおいて
ダウン症のある人が自分らしく生きる社会が
引き続き実現に向けて邁進する社会を願ってやみません。
いつかウクライナのダウン症のある人と日本のダウン症のある人が交流できますように。
キエフにあるウクライナ・ダウン症協会(UDSO)
http://downsyndrome.org.ua/en/
https://www.facebook.com/downsyndrome.org.ua
<HPより引用>
最近まで、ウクライナで生まれたダウン症のほとんどの赤ちゃんは、充実した生活を送る機会がほとんどない施設で過ごし、家族から諦められてきました。
現在、多くの家族が(ダウン症のある)子供たちの世話をすることを選択しており、ダウン症のある人々は教育と優れた医療へのアクセスの機会が増えています。
ただし、これらの家族にはほとんどサポートがありません。
医療が不十分なため、病気や障害につながっています。
ダウン症のある子供たちが彼らの発達を助けるために効果的な治療と教育を受ける機会はほとんどありません。ウクライナ・ダウン症協会(UDSO)は2003年に設立されました。
UDSOの使命は、生活の質を改善し、ウクライナのダウン症の人々に新しい未来を創造することです。
この組織は、ウクライナ全土の家族に情報、アドバイス、早期介入(early intervention)サービスを提供しています。2010年、UDSOは、ウクライナ全土でダウン症の人々への支援を改善するために、英国を拠点とする慈善団体であるDown Syndrome Education Internationalと協力して、3年間のプロジェクトを開始しました。
2010年7月にプロジェクトを開始して以来、UDSOはキエフにセンターを開設し、専門スタッフを雇用し、ダウン症の人々の健康と医療、早期介入、教育に関する最新情報を翻訳および公開しています。
The #Ukrainian flag 🇺🇦 is similar to the theme color for Down Syndrome. I sympathize with everyone in #Ukraine. #nowar just #Love with #downsyndrome pic.twitter.com/JrybXAob9L
— DS21ダウン症に役立つ情報・ニュース 🇺🇦STOP WAR🇺🇦 (@ds21info) February 26, 2022