映画『わたしはダフネ』イタリアの日常から得るインクルージョンの視点

Posted on 5月 17, 2021 by

 

イタリアといえば真っ先に思い浮かぶのがダウン症のサポート団体Coor Downだ。
毎年、世界ダウン症の日にダウン症のある人が暮らす現在と未来の世界を動画にして魅力的に見せている団体だ。

https://www.coordown.it/

そんなCoor Downの動画の中から出てきたようなイタリアの日常を見せてくれるのが今回ご紹介する映画『私はダフネ』だ。

© 2019, Vivo film – tutti i diritti riservati

主人公のダフネは近所のスーパーで働き、周囲に心許せる仲間がいて、ダンスパーティーも楽しむ、充実した人生を過ごす35歳の女性だ。

© 2019, Vivo film – tutti i diritti riservati

ある日、最愛の母マリアが亡くなったことをきっかけに、ネガティブ思考の父ルイジと母の故郷へ旅に出ようとダフネは提案する。

父と娘は旅を通じて互いの価値観を受け入れていく様子は当事者の親でなくとも大変興味深いだろう。
父とダフネの会話は劇中の見どころだ。

© 2019, Vivo film – tutti i diritti riservati

ダフネはネガティブな父に言う。
『人生はしんどいものよ、つまり人間らしいってこと』

さらに、ダフネは父のことが恥ずかしい、と言い、その言葉に私はドキッとした。
現在、我が子は12歳、思春期の息子は父に対してそう思う年頃かもしれない。

© 2019, Vivo film – tutti i diritti riservati

ダフネの言葉は心に響く。
障がいの有無、世代やジェンダーの違いだけではなく、父と娘の対話から気づきが得られるのは、こうあるべきだ、という父に対するダフネのしなやかな返しだ。

我が子もそうだが、ダウン症はその外見から実年齢よりも子供っぽく見られることが多い。
ダフネも35歳に見えないかもしれないが、映画の中で彼女は強気で、独立した、魅力的な女性だ。

ついつい自分の子供とダフネを比較してしまうが、そんな比較こそが障がいのステレオタイプであったことに気付かされる。

© 2019, Vivo film – tutti i diritti riservati

これは親子を超えて互いの違いを受け入れ、観ている私たちのダウン症についての偏った見方を是正してくれるインクルージョンの視点を与えてくれる物語だ。

 

© 2019, Vivo film – tutti i diritti riservati

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「わたしはダフネ」
7月3日(土)より、岩波ホールほか全国順次ロードショー
(c) 2019, Vivo film – tutti i diritti riservati
配給:ザジフィルムズ
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監督・脚本:フェデリコ・ボンディ 原案:フェデリコ・ボンディ、シモーナ・バルダンジ 
エグゼクティブ・プロデューサー:アレッシオ・ラザレスキー
プロデューサー:マルタ・ドンゼリ、グレゴリオ・パオネッサ 撮影:ピエロ・バッソ 編集:ステファノ・クラヴェロ 音楽:サヴェリオ・ランツァ 衣装:マッシモ・カンティーニ・パリーニ
出演:カロリーナ・ラスパンティ、アントニオ・ピオヴァネッリ、ステファニア・カッシーニ、アンジェラ・マグニ、ガブリエレ・スピネッリ、フランチェスカ・ラビ
2019年/イタリア/イタリア語/94分/カラー/シネマスコープ 
原題:DAFNE 字幕翻訳:関口英子 
配給:ザジフィルムズ 後援:公益財団法人日本ダウン症協会
厚生労働省社会保障審議会 推薦 【中学生以上、保護者・指導者等、一般(啓蒙) 】

www.zaziefilms.com/dafne/

 

 

 




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