コロナ禍の日常(カナダ/ブリティッシュ・コロンビア州編)

Posted on 7月 2, 2020 by

 

Instagramで知り合ったカナダ在住の有末さん。ブリティッシュ・コロンビア州でダウン症のある子供を育てています。
そんな有末さんにカナダのダウン症のお子様を取り巻く環境、コロナ禍での日常をお伺いました。

https://www.instagram.com/tomoariko/

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お子様のご年齢はいくつですか
有末
今年の9月で長男の優太(日本名)Yewta(英語名)は19歳、長女の笑美(日本名)Emmi(英語名)は17歳になります。長女にはダウン症があります
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カナダ在住ということですが、ダウン症のお子様を取り巻く環境(学校やコミュニティなど)を教えてください
有末
カナダの教育は、州政府、そして管轄の教育委員会によって異なります。
私たちは、ブリティッシュ・コロンビア州のケネル市という人口2万5千人ほどの小さな地域に住んでいますのでで、カナダの大都市と違うケースもあるかと思います

有末
ケネル市の教育委員会では、小学校は7年生まで普通学級のインクルーシブ教育で、州政府の補助金でサポートの先生が100%ついてくれます。4年生から卒業までは、サポートは少しずつ減り、最後の2年は、サポートは50%で通っていました。

学校には、サポートを必要とする全ての生徒を見てくれるリソース調整をする先生がおられます。娘の目標やカリキュラムは、リソースの先生を軸に校長先生、担任の先生、サポートの先生、私たち親、時には教育委員会の言語療法士や作業療法士なども必要に応じて参加してミーティングで話し合って決めていきます

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生徒と利害関係者のスケジュールを組んでくれる先生がいるのは心強いですね
有末
中学(8年生、9年生)、高校(10〜12年生)は、リソースクラスに所属し、サポートの必要な生徒さんとクラスを共にします。そこから、選択科目に通ったり、リソースクラスでの算数やライフスキルクラスなどに参加します
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なるほど、小学校7年生まではリソース調整をする先生がいて、中学校8年生以降はリソースクラスに移るのですね
有末
小学校、中学校は、ほぼ嫌がることなく楽しく学校へ通いました。現在11年生が終わったところですが、これまでの高校の2年間は、学校を嫌がる日もあります。かなり自立してきたので、スクールバスで通っています。10年生までは、一般のスクールバスで通っていましたが、現在は障害児専用のスペシャルバスが、家まで迎えに来て、学校まで送ってくれます。
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高校生になると気持ちの面でも嫌がることもあるでしょうね。そこは万国共通な気がします
有末
笑美は、住んでいるコミュニティでは本当にそのままで受け入れられています。私が、知らない人まで、“笑美!!”と声をかけてくれる方がたくさんいます。スイミングや体操教室、ダンスクラスなどにも通いますが、断られたことはなく、できる範囲で参加させてもらっています。私は、先生が困ったら手伝うため、陰から見ています(笑)
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地域で愛される、というのも万国共通かも(笑)
有末
ダウン症のある子供に対しての療育の補助金などはありませんが、レスパイトと言って、親が休息するための補助金は、いただいています。レスパイトサービスは、サポートしてくれる方が、笑美を遊びに連れて行く、週末家に泊めてくれる、家に来てベビーシッターをしてるなどのための補助金です。つまり障害児を持つ親が、本人から離れて休息をさせてくれるためのものです。
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『親が休息するための補助金』なんてあるんですね!障害のある子供でなくとも、親が自分の時間を過ごす、というのは大切ですね
有末
私は、笑美の体操やスイミングの個人レッスン(私は陰で見ていなくてもいいので)や、一緒に遊んでくれる近所のお姉さんをベビーシッターに雇ったりしています。2年前から、週に数時間のライフスキルのサポートの補助金が受けられるようになり、娘は料理や買い物、交通機関の使い方(と言ってもここは、バスしかありませんが)、図書館の利用などを学んでいます。
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親だけではなく当事者の方にもライフスキルのサポートの補助金があるのかぁ
有末
笑美が生まれてから、ケネル市で生活していて、大人からも子供からも迷惑がられたり、誹謗中傷を受けたりしたことは、一度もありません。本当にいい環境で育てさせてもらっていると感謝しています。休暇などで大都市へ出かけても、笑美の行動などで一般の方からクレームを受けたのは、17年間に一度だけです。その時も、そのアトラクションの係員の方が、クレーマーの方に即対処してくださいました。世界は、私が思ったよりもずっと優しいと感じています
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確かに!私もダウン症のある子供を通じて、世界は思ったより優しいな、と実感をしました。それは今も継続しています
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カナダでの新型コロナウィルスの感染者累計は10万人を超えましたが、回復者も70%と良い方向に向かっています。ロックダウンを行ったブリティッシュ・コロンビア州でも5月より段階的な制限緩和。このような状況でご家族はどのように過ごされたのでしょうか。
有末
こちらも、感染者がほぼ0だったケネル市での経験しかお話しできませんが、笑美は、3月半ばの春休みから3ヶ月半、ほぼ家で過ごしています。緊急事態宣言がレベル2になってから、買い物や散歩に行ったりするようになりました。
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なるほど
有末
ありがたいことに、5月と6月は、子供発達センターの方とライフスキルのサポートの方が、それぞれ週に数時間ずつ、戸外で娘と過ごすサポートを受けています。

私は、A B Aセラピスト(主に発達障害の方の療育、2〜19歳まで)の仕事とスキンケアコンサルタントのビジネスをしています。A B Aセラピストの方は、4月からオンラインでの療育です。準備と療育の両方で、毎日家にいる笑美を見ることができなかったため、時間を減らしてもらい、フレキシブルに働けるスキンケアビジネスへと時間を移行して、対処することができました

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私も在宅勤務になったのと並行して、子供の小学校が休校になり、フレキシブルに働くことの重要さがわかりました
有末
夫も自宅でできるビジネスをしており、助かっています。息子は、夫のビジネスを手伝っていますので、家族で助け合い、サポートの方の訪問との併用で、今まで乗り切れています。カナダ政府は、いくつかの補助を出してくれているので、私のビジネスの移行期なども、乗り切れています。
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カナダでは多くの学校がオンラインコースを開講しているそうですが、笑美さんの学校ではどうなのでしょうか
有末
はい、娘の高校もオンラインで、先生が課題を出していました。リソースクラスの先生も、オンラインでいつでもサポートできる対応はしてくださっていましたが、サポートなしで対応できる課題だったので、家庭で行っていました。

6月1日から、一般の生徒さんは週1日の登校が再開、リソースクラス所属の娘は、社会的弱者というカテゴリーで、毎日の登校が認められていました。ただ、登校をさせない選択をした家族の方が圧倒的に多く、学校に友達もいない上、ソーシャルディスタンシングなどの決まりが厳しく、守れない場合はお迎えに来てくださいということでした。我が家は、家で過ごすルーティーンが確立していた事と、夏休みまで2週間の登校でしたので、家で過ごす選択をしました。結果3ヶ月半、自宅で過ごしています

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自宅で過ごすのも大変ですよね。うちも休校中、子供二人を自宅で過ごしましたが、遊びや勉強、体も動かさなくちゃいけないし、ご飯もつくる…..うーむ、大変だった
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さて、コロナ禍の生活環境で笑美さんが困っていることはなんでしょうか
有末
娘は生活一般で困っていることはなく、楽しそうに過ごしています。ただ仲良しの友達に会えない、こちらの挨拶の習慣であるハグやハイタッチができないことは、寂しそうです。少しずつ制限が緩和されてきているので、ここ2週間ほどで、いとこたちとピクニックに出かけたり、友達に会えることが増えてきて、とても嬉しそうです。人との接触ができないことも、割と理解できているようで、それで困ることは今の所ありません
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なるほど
有末
逆に、コロナが終息して通常の学校生活に戻る時に、どのような状況になるのかは全く予想がつきませんが、今回の3ヶ月半に及ぶ家での生活の経験から、ホームスクールという選択肢も考えています
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今後どうなるか分かりませんね。それも万国共通(笑)
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今日は貴重なお話、有難うございました!
 




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