”コンプレックス”か”強み”と捉えるかは紙一重。志村駿介さんが見つけた自分らしい生き方
Posted on 5月 15, 2018 by DS21.info
必要は発明の母。家族がきっかけで何かを発明したり、新しいビジネスをはじめることは珍しくありません。
経営者として奔走する志村駿介さんは、かつてダウン症のある弟への想いから自分の軸を見つけました。
プロを目指すテニス選手から経営者へ。
株式会社Lean on Me 代表取締役社長、志村駿介さんにインタビューしました。
中学からテニスを始め、高校・大学と全国大会に出場し、アメリカへテニス留学もしました。
大学時代は保健体育の教員を目指していましたが、母子家庭で障がいのある弟がいる家庭環境を振り返った際に、「なにかあった際に助けてあげられるだけのお金」が必要だと感じ、経営者になることを決めました。
大学卒業後に就職をして、飲食店で店舗経営を学び、独学でWebサイトの制作などを学び、2014年に株式会社Lean on Me(リーンオンミー)を創業しました。
株式会社Lean on Meの理念は、「障がい者にやさしい街づくり」です。
当時、家庭内別居をしていたので父の食事を僕が部屋まで運んだり、両親が喧嘩しているときは弟を守っていたり。友達にも言えなかったですね。父方の祖母や母方の祖父母から、両親の仲を戻すために僕にずっと頼られたりしていて、一度だけ母方の祖母に助けを求める気持ちで相談したのですが、逆効果になりそれ以来相談して良いことは無いなと感じてました。
一番当時の経験で今生きていることは、僕が弟と過ごす時間が多かったので、(当時の)弟は「お腹が空いた」とか「トイレいきたい」とかを言葉で言えなかったので、僕が表情とか仕草とかを見てわかってあげる必要がありました。
その結果、学校に行っても無意識でその傾聴?みたいなことを友達にもやっていて、「この人は今の言葉に傷ついてたな」とかがわかるようになりました。今でも先輩や周りの人が喜びそうなことや気にしていることなどがすぐにわかるので、コミュニケーションをとる上でとても重宝しています。
なんか部活やってたときも、「いま先輩が見てるな」とか怒られる前にわかったりしてました。笑
学生時代は体育会系でテニスしかしていなかったので(受験もせずに推薦で進学)、経営について学ぶためにも(一度社会に揉まれるためにも)就活をしてお金の勉強ができるところを探しました。銀行・証券会社などいろいろ受けましたが就職氷河期ということもあって飲食店の経営しか就職できませんでした。
その後は、障がい福祉でお金を稼ぐというのが全くイメージできなかったのでWebで稼いで福祉で使おうというコンセプトで地域の飲食店さんなどのWebサイトを作るWeb事業をスタートしました。しかし、Web事業も後発組だったので生活費くらいしか稼げず、資金調達をして現在の事業をスタートしました。
いま社会に必要な障がい福祉の知識をスマホで学べるサービスです。
主に、知的障がいや発達障がいのある方を支援する方が、どのように彼らを支援していけば良いのかを体系的に学習することができます。
障がい福祉サービス事業所では、「人手不足」や「長時間のサービス形態」が原因で研修ができず、不適切な支援や虐待が起きやすい環境にあることに課題を感じました。
そこで、10分程度のスキマ時間で研修の受講ができるeラーニングを活用して、適切な支援ができるような環境づくりに貢献しています。
Special Learningの目的は、事業所の支援水準の底上げと、「障がいのある方への配慮の仕方の認知度を向上」させることにあるため、現在は障がい者雇用をしている企業にも広げています。
料金体系は、初期導入費が64,000円(税別)で、月額利用料が従業員一人あたり1,500円(税別)です。現在5法人に導入し、440名のユーザーがいます。
障がいのある方の保護者さまから、「(知的障がいのある方が)運動できる場所が少なく、家でエネルギーを発散してしまう」と相談を受けました。そして、同じ時期にテニスクラブのオーナーから「コートが空いているのがもったいないので何かできないか」と相談を受けました。
そこで2016年10月に知り合いのプロテニスプレーヤーや障がい者支援者に声をかけて知的障がいのある方のテニスイベントを開催したことが発端で、月に1回のペースで開催しています。
テニス用具はクラウドファンディングで集め、参加者は中学生以上の知的障がいのある方が毎月15名ほど来られます。
1回の教室が45分で、参加料は1500円(税別)です。
そこで、「自分が生まれてきた理由」など自分の人生を振り返ったときに「ダウン症の弟」の存在が大きいことに気づきました。
現在、会社は5期目に入りましたが当初の気持ちは一切変わらず活動を継続しており、最近では大阪府のベンチャー企業として経営者仲間もたくさん増え、社会と障がい福祉の架け橋になれるポジショニングが築けています。
障がい者にやさしい街づくり、特別なあなた、特別なまなび、を掲げる志村駿介さんのリーン・オン・ミー。
ぜひサイトをご覧ください。
https://leanonme.co.jp/